Voyage MPD (music player daemon)をMini-ITX M/B(intel D945GCLF2)を使用したPCにインストールしていたずらしている。
HDDの代わりにCF-SATA変換ボード(玄人志向 KRHK-CF2.5SATA)と4GB CF(Silco Power SP004GBCFC200V10)も購入したが、ケースが古ぼけたタワーなので電源ファンがうるさい。
intel D945GCLF2はどういうわけかチップセットに冷却用ファンが装着されているし、Mini-ITX用ケースを新規購入するにしても、静音化するためには電源ファンの問題が残ってしまう。
そのようなわけで、ファンレスでしかもACアダプターで動作するVoyage MPD Starter Kitを購入することにした。
Voyage MPD + ALIX3D2 + 4GB CFが140USD、送料が16USD、計156USD、購入時点のレートで12,901円となった。
ALIX3D2 はAMDオンボードの組み込み用PCで、Connectivity: 1 Ethernet channel (Via VT6105M 10/100)、
I/O: DB9 serial port, dual USBで、Voyage MPD Starter KitではVoyage MPDがプリ・インストールされた4GB CFと金属ケースがセットとなっている。
購入に関しては「Blue Sky Label PCオーディオ実験室」の「Voyage MPD Starter Kit」の注文から設定まで を参考にさせていただいた。
注文から約1週間で到着したが、CF(コンパクト・フラッシュ)は文字通りのノーブランド品であった。
Voyage MPD Starter Kitには電源が付属していないので別途、用意する必要がある。
ガイドには「
Suggest at least 15W (12V 1.25A or 18V 800mA) AC-to-DC power adapter with 2.1 mm jack, center positive connector.」
となっているので、スイッチング方式ACアダプターを使うケースが多いようである。
しかし、スイッチング方式ACアダプターよりもリニア方式の方が音か良くなるとの情報もあるので、リニア方式の自作電源を用意した。
この電源、見かけはパソコン用だが、ケースを再利用しただけで、中身は12V2Aトランスを使用したリニア方式である。
この電源を使用した場合の消費電流を測定してみた。
電源の出力端子電圧DC12Vにおいてピーク電流は約0.3A、定常時は約0.2Aであったので、トランスの損失等も含めた消費電力は数W程度となり、点けっぱなしでも問題ないと思われるが、しかし、たかが数W、されど数Wで、省エネの観点からは・・・。
DHCPサーバーがあるLAN環境では、IPが判ればWindowsPCからSSHで接続できる。
また、iTunesがインストールされたWindowsPCではIPが判からなくてもホストを「voyage.local」とすれば接続可能となる。
ALIX3D2にはシリアル・ポートがあるので、
シリアル接続も可能である。
しかし、最近ではシリアル・ポートのあるPCの方が珍しいが、この方法についてもトライしてみる。
WindowsPCにシリアル・コンソール・ソフトが必要であるが、筆者はTeraTermをインストールしてあるので、これを使用した。
左図はターミナルソフトの一般的な設定である。
こちらが通信に関する項目で、ガイドに記載してあるように
Port:COM1
Baud rate:38400
Flow control:none
と設定する。
これが接続時の画面であるが、 User is“root”and “password is voyage”でSSH接続と同じように使用できる。
前述したようにDHCPサーバーがあり、iTunesがインストールされたWindowsPCではIPの代わりに「voyage.local」で接続できるが、ALIX3D2のIPを固定した方が便利である。
その場合、/etc/network/interfacesをviで書き換えるが別の方法もある。
ALIX3D2+Voyage MPDではWebサーバーが動作しているので、ALIX3D2+Voyage MPDとLAN接続できていれば、
ブラウザーに「voyage.local」またはIPを打ち込めば、左図のようなログイン画面が現れ、User:root、Password:voyageでログインできる。
ログイン後、Inerfacesタブをクリックし、Ethernetを選択する。
Choose IP method を staic にするとIP address等を書き込むことができるので、必要事項を記入して Save & Apply をクリックするとIPアドレスを固定することができる。
書き換わったことを確認してみる。
root@voyage:~# less /etc/network/interfaces
auto lo
iface lo inet loopback
auto eth0
allow-hotplug eth0
iface eth0 inet static
address 192.168.0.80
netmask 255.255.255.0
gateway 192.168.0.1
dns-nameservers 192.168.0.1 192.168.0.1
broadcast 192.168.0.255
以上のようにWebブラウザーでIPアドレスを固定することができた。
Voyage MPD Starter Kitは、そのままでも問題なく使用できるが、いくつかの設定を変更してみる。
先ず、/etc/mpd.confの設定を変更するが、オリジナルのコピーを作っておけば、失敗した場合、いつでも元の状態に戻すことができる。
コマンドは以下のとおりで、mpd.conf.bkというバックアップ・コピーを作る。
root@voyage:/etc# cp mpd.conf mpd.conf.bk
元に戻す場合は
root@voyage:/etc# cp mpd.conf.bk mpd.conf
とすれば、OKである。
最初にbind_to_addressという行を探し#でコメントアウトする。
#bind_to_address "localhost"
次の変更箇所は
audio_output {
type "alsa"
name "My ALSA Device"
device "hw:0,0" # optional
# format "44100:16:2" # optional
# mixer_device "default" # optional
# mixer_control "PCM" # optional
# mixer_index "0" # optional
}
において、format、mixer_device、mixer_control、 mixer_indexを#でコメントアウトした。
時刻も合わせておく。
タイムゾーンをインストールし、Asia → Tokyoを選択する。
root@voyage:~# dpkg-reconfigure tzdata
現在時刻をdateコマンドで確認する。
root@voyage:~#date
Sat Jan 1 09:22:23 JST 2000
とかなりずれていたので
root@voyage:~#date MMDDhhmmYY
で修正する。
現在時刻が2012年4月27日09時30分であれば
root@voyage:~#date 042709302012
とする。
root@voyage:~#date
Fri Apr 27 09:30:25 JST 2012
と修正された。
ntpdateコマンドも実装されているので、筆者の場合、GATEWAYのアドレス192.168.0.1を指定したところ、
root@voyage:~#ntpdate 192.168.0.1
30 Apr 06:58:10 ntpdate[1958]: step time server 192.168.0.1 offset 389051797.609939 sec
となり、時刻合わせができた。
dateやntpdateコマンドで合わせた時刻は、ALIX3D2+Voyage MPDをシャットダウンするとリセットされてしまうので、起動する毎に行う必要がある。
起動後、自動的に時刻合わせをするためには /etc/crontab を編集する。
crontab -e で vi が起動するので、@reboot /usr/sbin/ntpdate 192.168.0.1
を追加する。
これで、起動後、1回だけ nptdate コマンドが実行され時刻を合わせてくる。
root@voyage:~#crontab -e
# m h dom mon dow command
#*/5 * * * * ( /etc/init.d/voyage-sync sync )
@reboot /usr/sbin/ntpdate 192.168.0.1
その他は「Windows7 PCに接続したUSB-HDDを使う設定」と「Voyage MPDでもネットラジオを聴く」設定を行った。
下記のようなシンプルなセットアップで試聴してみた。
クライアント用PCのASUSネットブックとALIX3D2とはクロスLANケーブルで接続したので、HUBを経由していない。
音楽ファイルはCDからリッピングしたwavファイルをUSBメモリーに格納してALIX3D2に挿し、ALIX3D2の電源は上述したリニア方式の自作電源
USB-DACは真空管バッファアンプ付きの自作品、アンプは171A/71A シングル直結、スピーカーはFOSTEXである。
スピーカーが良くないので、Headphone Adapterをアンプに接続してヘッドフォンでも確認した。
ASUSネットブックに直接、USB-DACを接続した場合と比較したが、ALIX3D2から出てくる音はサウンド全体に厚みかあり、低音も豊かであり、Voyage MPD Starter Kitを導入して大正解だと感じた。
このシステムをオーディオ・ファイルの知人宅へ持ち込み、詳しく評価して貰おうと思っている。
Voyage MPDとWindows 7のスペクトラムを比較してみました。
詳細はVoyage MPD vs Windows7でどうぞ。